「幸せになる」という言葉がありますが、たいてい、幸せになるという場合、未来に幸せになる、という意味で使ってしまうわけで、それでは幸せにはなれないように思います。
「未来」というものを言う場合、「未来」とは「今」ではないわけで、「今」の時点から見ると、未来は絶対に今にはならないから、つまり、それは、未来は絶対にやってこないという事です。
今と未来は離れているのであって、隔たりがあるわけです。距離があるわけです。決して、今は、距離的に、自分に近づかないわけです。それは、まるで、磁石と磁石の同じ極をくっつける事が出来ないような感じで、今と未来は離れているわけです。
「未来」は、「今」から遠いところにあるわけで、未来を設定すると、それは今の時点から離れたところに未来が置かれるわけです。だから、未来に設定されたものは決して手が届かないわけです。
その意味で、「未来に幸せになる」というのは、手の届かないところに幸せを設定する事になって、決して幸せになれないわけです。
そして、厳密に考えると、幸せになるとは、幸せな気持ちを感じる、という事の方が表現としては正しいわけです。
未来に生じるであろう気持ちはせいぜい想像するものであって、気持ちを感じるのは「今」感じるものであるわけだから、正しくは、「今幸せを感じる」となるわけです。
「なる」という言葉を使うなら、「今幸せになる」という事です。
そして、幸せになろうとする時、考える事は、今ある幸せを感じるようにするべきであり、今気づいていない幸せを見つける、気付く、そういう事になるわけです。
その上で、本当に、今幸せを感じないという事であるなら、はじめて、幸せを感じるためにどうするかを考えるという事です。
人は皆、幸せになりたいわけですが、まずは、幸せはなるものではなく、感じるものである事を理解する事が重要です。そうでなければ、いくら幸せの条件が整っていても、幸せにはなれないわけです。
幸せに気付き、幸せを感じる事が出来なければ、幸せにはなれないわけです。
幸せは、気持ちの問題であり、感情の問題であるわけです。その意味で、自分にとっての幸せの感情とはどういった感情か、それを知る事の方が大切です。幸せの感情が分からないのに、幸せになろうとするのには無理があります。
ですから、「幸せになる」とは、厳密には、「幸せを感じる」という事が正しいのであって、それは未来の事ではなくて、「今」の事であって、そして、幸せの感情はどのようなものか、という事が重要だという事です。