何かいつも刺激を求めてしまう事ってあると思います。食べ物とかそういう事だけではなく、人間関係でもたくさんの人との関係性を求めてしまったり、仕事でも何か自分を刺激してくれるような、面白そうなこととか、自分の気分を上げてくれるような、そういうものを求めてしまったりしてしまいがちだと思います。
学習心理学や認知心理学の分野では、刺激(S)-反応(R)理論というのがあります。何か周りからの刺激があると、それに反応するという考え方です。
人間は、周りからの刺激によって反応して、そして、自分の感情や気分が上がったり下がったりしています。そして、気分がポジティブな方がもちろん良いですから、いつも自分の気分がポジティブにドリブンするような刺激を求めてしまいます。
でも、いつも外からの刺激で気分を上げるような生活をしていても、いつまで経っても落ちつかず、何か不安定で、何か不安だったりします。
SR理論の発展版に、SOR(Stimulus-Organism-Response)理論というのがあります。Oとは、人間で言うと、身体です。刺激を身体が受けて、身体が反応するというスキームで、刺激と反応を身体が媒介しているという事です。実際は、刺激と反応の単純な1対1対応の関係ではなく、身体を介した階層的、複合的な構造になっているという事です。
身体は柔軟で、学習したり、記憶したり、習慣にしたりしますから、あまり刺激にドリブンする事に慣れすぎると、身体がそのようになってしまって、いつも刺激的で気分が上がらないと生きていけなくなってしまいます。単純な例だとタバコみたいなものですが、人間や社会との関わりにおいてもそうなってしまいます。
安心、不安を中心に考えると、不安な状態だと、とにかく刺激によって自分の気分を上げて、生活や人生を回そうとしてしまいます。そもそも不安な状態はつらくて嫌ですから、それを避けようと、刺激を求めてしまいます。実際は身体を介したSOR理論の仕組みになっていて、まるで身体が求めているようになってしまいます。それではいつも身体はへとへとです。
安心な状態とは、心身が安定して心地良い状態、そして、人や社会と無理せず自然に関わろうとする状態です。安心な状態は身体が重要な役割を果たしています。身体が安心した状態であれば、無理に刺激を求めなくても良いし、無理に気分を上げようとしなくても良いはずです。
なので、刺激を何かと求めがちで、そしていつも不安定で不安だったりする場合は、身体に目を向けて、身体を安心させるようにしていく事が大切だと思います。