主観的ウェルビーイングの5つの要素の1つに、ポジティブ感情というものがあります。人間は、様々なポジティブな感情を持っているわけですが、どのような内容の感情を感じるかは人それぞれで、また、感情の強度も人それぞれであるわけです。
ですから、単にポジティブな感情を感じる事を待つのではなく、ポジティブな感情を感じるように、また、気付くように、練習をする必要があるわけです。
自分の育ってきた環境によって、ある感情については全く育っていないという事があります。その場合、その感情は育っていないわけですから、何かの体験ではじめて感じる機会があったとしても、それが何の感情なのか気付かないという事があるわけです。
また、人は、ネガティブな感情を強く感じるようにできています。つまり、ネガティブなバイアスがかかっているわけです。
それは、人間が生存していく為には必要な性質で、でなければ、生命の危険が迫っているのに、気付いて回避する事が出来ません。
人間の行動様式は、生存する事を優先するように動機づけられているわけですから、当然と言えば当然なのですが、ただし、その事と、幸せとは別の問題です。
生存を優先しても、幸せになれない、という事です。
ですから、ネガティブな感情に気付いて、それに反応して、それに適応していても、幸せになれないわけです。
さらに言うと、ネガティブな感情に反応して、その体験に基づいて行動していると、その行動が記憶化されて、思考もパターン化してしまうわけです。
そうする事で、ネガティブにドライブしながらそれを回避する経験が学習されて、そのような人間にはなっていきますが、幸せを感じる人間にはなっていかないという事です。
だから、幸せになるには、ポジティブな感情を感じる人間になる必要があるという事です。また、ポジティブな感情に気付く人間になる必要があるという事です。
人間は学習する生き物であり、学習して、行動を変容させていく生き物です。
ですから、ポジティブ感情を強化学習する必要があるわけです。
ですが、すぐにはポジティブな感情は学習されません。まずは、ちゃんと気付く事です。自分の中で生じたポジティブな感情に、ちゃんと気付くという事です。そして、気付くという事を練習して、練習を積み重ねるという事です。
その練習により、ポジティブ感情に対する気づきも強化され、ポジティブ感情に気付きやすくなり、気付きやすくなる事でポジティブな感情の体験もしやすくなるわけです。
そのような練習の積み重ねによってポジティブ感情を学習できれば、幸せを感じられるようになるという事です。