ウェルビーイングは、人にとって重要な概念ですが、ウェルビーイングを目指す上で、幸せというものは欠かせません。ウェルビーイングと幸せは、一応同義ではないようですが、ウェルビーイングにとって、やはり幸せは大事だと感じます。
幸せを感じるというのは、欲を満たすというのとは違います。欲は、一瞬満たされたかと感じますが、あまり持続せず、欲が満たされない状態になったら、つらくなったり退屈になったりします。中毒みたいなものです。
タバコは吸っても吸っても、満たされたと感じるのは吸った瞬間であって、タバコを吸うという欲を満たしても、長続きしません。
幸せを感じるとは、例えば、「優しい気持ちになる」というような感情の動きであり、優しい気持ちをなれた時、凄く心地良く、心も温まり、それこそ幸福感を感じたと言えます。
また、優しい気持ちになれると、その気持ちは割と長続きし、その気持ちが消失したとしても、それでつらくなったりする事はありません。
また、幸福感というのは、身体にも良いという事です。
ポリヴェーガル理論では、人は表情や声に関係する迷走神経を活発に活動させて、身体自体を楽にしたり、心地良くしたりする作用があります。人に優しく接したり、人に優しく語りかけたりすると、身体をリラックスさせ、癒すわけです。
優しい気持ちになっている時、身体に良い影響が伝わっています。硬くなった身体の緊張は和らぎ、ストレス状態も軽減し、内臓にも良い影響を与えます。
一方で、欲を満たそうとばかり思っていても、長続きしないどころか、欲が満たされなくなると、ストレスを感じ、身体に疲労感がたまります。ちっとも身体は楽にならず、心地良くもなりません。一瞬気分が良くなるだけです。
そういう意味で、優しい気持ちになるという事は、幸せになると同時に、身体の状態も良くなるという事です。
欲と幸せの話に戻すと、欲と幸せは、明確に異なるわけです。身体に対する作用という観点からも明確に異なるわけです。この違いを感覚として、というか、感情としてしっかり見極め、また、よく知っておくことは大切です。その違いは、直接幸せにつながっています。
だから、幸せになろうとして、欲を満たそうとするのは、言葉の意味からしておかしなことを言っているわけです。欲を満たそうとしても、ウェルビーイングにはつながりません。幸せになろうとする事で、ウェルビーイングにつながるわけです。そして、それは優しい気持ちになる事だったりします。また、その事は身体の状態が良くなる事にもつながっていたりするわけです。