会社勤めをしているHSP(Highly Sensitive Person)の傾向を持つみなさん、大変ですよね。特に大きな会社に勤めている場合は、色々と気を使わないといけない事が出てきて対応できず、疲れ果てて、仕事の量や進め方をかなり自分に合うようにコントロールしなければなりません。そうしないと、ストレスでぼろぼろになって、鬱っぽくなったり、休んだりしないといけなくなります。そうではないでしょうか。そこで、何故HSP傾向の人が会社勤めをしているとつらくなるのか、その理由を考えてみたいと思います。
まず、会社にはたくさんの人がいます。そして、多くの人が集まって協業していくわけですから、みんなで上手くやっていく必要があります。そのような環境の中で重要なのが、団結する事と、参加することです。
団結することは、社会の集団を形成する場合はとても重要です。会社として機能するためには、社員の皆が会社の価値観や理念を共有して、ひとつの方向に向かっていかなければなりません。また、会社は人間から成る組織ですから実体は人々がリアルに運営する組織体です。だから、会社が機能するためには、理想的な民主制ではなく、社長をはじめとする中心的な少数の人たちが速い意思決定で色んな事を決めて進んでいかないといけません。だから、自分が一社員の場合、その責任のある少数の社員たちの決定したことに合わせてみんなで上手くやっていかなければなりません。そのため、団結することが重要なのです。
そして、参加することです。会社は多くの人から成り立っていますから、何かをみんなで協業してやっていく時、それらの仕事に積極的に参加しなければなりません。当然のことです。会社は、会社が準備するやるべき仕事に多くの人が参加して初めて進んでいくものです。
HSP傾向の人は、みんなで団結し、みんなで参加することが苦手です。基本的に、多くの人と同時に接するという事自体が苦手なのです。他人に上手く合わせる事に気を配っていますから、人の数が増えれば増えるほど手に負えなくなって、疲れてしまいます。でも、会社はそういうシステムですから、このシステムに各社員は上手に合わせていかなければなりません。
それでは、このような会社に対して、社員が上手くやっていく為に必要な事を考えてみましょう。まず、鈍感さです。それは何故かというと、多様なたくさんの人がいますから、それらすべての人に対応しようとしていたら、身体がいくつあっても足りません。でも、生産的な決定を下していかなければならない場面がたくさんありますから、あまり細かい人の違いや意見の違いに対しては鈍感である必要があるのです。HSP傾向の人の特徴は何と言っても、繊細さですから、鈍感になれるはずがありません。
そして、もうひとつ挙げたいのが、単純化、明確化する力です。上の鈍感さと似ていますが、多くの意見や考え方を、「要するに...」と単純にしてまとめる力が必要なのです。会社には多くの人がいて、意見や考え方は様々ですから、それらを一括りにして会社として機能させるのが会社です。ですから、大雑把にして、細かいところは気にせずに、単純化して分かりやすくする必要があるのです。ですが、HSP傾向の人は一人一人の考え方が無視できませんから、単純化できません。そもそも、たくさんの多様な人々の意見を一つのまとめようとする事自体が無理な話ではあるのですが、それでも、会社では、曖昧なものを排除して、分かりやすいものだけを拾い取って、まとめていかなければなりません。ですから、HSP傾向の人には無理な話なのです。
HSP傾向の人は、繊細で、多様な人々を尊重せざるを得ない特徴がありますから、鈍感さや単純化・明確化が求められる会社では、どうしても苦しくなるのです。決して、会社が嫌いだとか、会社の人たちが嫌いだとか、そういう意味ではありません。HSP傾向でない人と比べれば、むしろ会社の事や社員の人たちの事は好きだと思います。関心が高すぎて気を使い過ぎてしまうのです。鈍感なHSP傾向でない人はむしろ人に無関心な傾向があると言っても良いかもしれません。そして、人々はそもそも多様ですから、多様な人々の一人一人を高い強度で接しようとしていたら疲れ果ててしまいます。それは当然です。
HSP傾向のみなさん、会社は団結や参加をその性質上常に求めていて、上手くやるには鈍感さと単純化・明確化の力を必要としています。とても無理な話なのです。でも、HSP傾向の人は会社に他にもたくさんいます。ですから、自分が会社から求める団結や参加を拒否するような気持ちになってしまうことを責めたり否定したりする必要はありません。それよりも、自分を優先して働くようにした方がいいと思います。無理であることを理解して働くようにすると、自分なりの働き方が見えてくるのではないかと思います。