人間にとって、食事は欠かせない楽しみであり、文化であり、生活であり、生きる事そのものである。そう思います。食事を摂らなければ人間は生きていけません。
そして、人は様々のものを食べます。人にはいろんな好みがあって、ある人はある食べ物が好きで、別の人はまた別の食べ物が好きだったりして、皆同じという事はありません。
また、子供の頃はある食べ物が好きだったとしても、大人になると別のものが好きになったりします。生きていくとともに、好きな食べ物が変わっていくわけです。このような変化も、人間皆同じという事はなく、人それぞれ好きなものの変化も多様なわけです。
食べ物は自分自身が味わう事でありますから、それは極めて主観的な感覚であって、他の人には全く分からない自分だけの知覚によって身につけていくものです。自分だけが知っている味であり、自分だけが身につけたものです。まさに、習慣を身につけるように、また、学習して身につけるように、自分だけの味を身につけるわけで、また、自分だけの食の楽しみを身につけるわけです。
人間には、感覚があります。そして、感覚が感情にも影響を与えるわけで、楽しみや喜びも作り出すわけです。自ら、主観的な体験を作り出すのであって、それこそが人間の人生であるわけです。
自分自身の持つ人間としての楽しみや喜びは、食の楽しみや喜びを身につけるようにして身につけるものです。つまり、自分の人生や体験、生きるという事は、自分自身によって作り出していくものです。
その意味で、人は、味わう力を身につけなければなりません。感じる力を身につけなければなりません。感じてそれを自分のものとする力を養っていかなければなりません。食べ物がおいしくなっていくように。
全てはそのようにして、自分の感覚や感情を使いながら主観的な体験によって生きていくという事です。
自分にとって良いか悪いか、どのように生きていくかどうか、何をやっていくのかやっていかないのか、そういった事は、自分の感覚や感情が選ぶ事をベースにしてやっていく事であって、美味しいと思うものを食べていけば良い、そういう事です。
どう生きていったらいいか分からない。そういう事ってあると思います。でも、そんな時は思い出したらいいんです。食事の事を。美味しいという事を。美味しいものを食べた時の楽しみや喜びを。それは自分で身につけたものであり、それが生きる基本です。
食事をするように生きていったらいいんです。自分が身につけた美味しいものを食べる。それが生きる基本です。