生きているという事の質にとって大事なのは、「主観的時間」をコントロールする事だと思います。コントロールするというか、実際は、主観的な時間を長くするという事だと思います。
主観的な時間と言っているわけだから、それは時計で測れる時間ではなくて、主観的に体験として感じられる時間の事を言っています。
この「時間」というのを言い換えると、スピードとか速さとかになるわけですが、今体験している事をすごく速いスピードで体験しようとすると、その体験が薄くなってしまうわけで、体験するスピードをゆっくりにするという事がとても大事だという事です。
主観的な体験を濃いものとして体験する事が、生きているという実感を強く感じる上で、とても大事だと感じます。
この、濃厚な体験というか、濃縮された体験というのは、マインドフルな状態と関係があります。すごくマインドフルな状態だと、濃縮された体験になります。ゆっくりとした時間で、じっくりとその体験を味わう事が出来るという事です。
逆に言うと、マインドレスの状態が、体験を希薄なものにします。マインドレスは、体験するスピードが速い事に相当します。
このマインドレスな状態は、突き詰めていくと、恐怖感と関係があります。恐怖感が強いと、マインドレスになってしまい、我を失ったようになってしまい、スピードが速くなってしまいます。主観的時間を無くしてしまいます。その意味で、安心感は、恐怖感を軽減して、時間を取り戻してくれます。
体調が良くない事も、マインドレスにつながってしまいます。身体的な不調は、不快感や疲労感やストレス、イライラにつながり、それがマインドをレスにします。そして、主観的な体験を希薄なものにします。もちろん、知性も思考も発揮できません。これは、スピードが速くなって、主観的な時間が無くなってしまうことにつながります。
恐怖感というネガティブな感情も、身体的な不調も、要は身体から作られるわけで、この事はつまり、身体が主観的なスピード、または主観的な時間を作っているという事を言っています。いかに、自分の身体で、主観的な時間を作り出すかがとても大事だという事です。
人は、「時間」という概念に縛られがちです。時計の時間ではなく、主観的な時間をコントロールする力を取り戻すべきです。時間というのは、人間が人間として認識する為に作り出した観念ですから、それに縛られず、それが形成される以前の時間、または速さを意識して、濃縮された主観的な体験をゆっくりと感じられるように、身体の状態を整える事が大事です。