毎日の習慣や哲学の実践をつづるブログ

毎日の習慣、考えている事、実践について、基本哲学好きとして、とにかく書き続けています。

身体の安全性と世の中との関わりはセット。身体の現象学とポリヴェーガル理論

最近は、生きるという事とそれに関する身体の事について考えているわけですが、メルロ=ポンティの身体の現象学を参考にすると、生きていく事、世の中や世界に関わっていく事のためには、まず、自分と身体との関係をちゃんと考えていく事が大事なんだなという事を強く感じています。

 

人は生きていく為には、周りの人たち、社会、世の中、つまり世界との関わりを持って生きていく事になるわけですが、ただ関われば良いというというものではなくて、身体の状態、身体の安全性が確保されていないと出来ないんだという事です。そして、身体の安全性という事に関しても、まずは、自分が、他者であり自己でもある自分の身体をちゃんとケアして大事にするという事がとても大切なんだなという事も感じています。

 

最近、また、スタンレー・ローゼンバーグという人の「からだのためのポリヴェーガル理論」という本を読んでいます。この人は、手技を使ったボディセラピストで、本書では自律神経に関して、最近注目されているポリヴェーガル理論というものを解説しています。

 

自律神経系というのは、以前は交感神経系と副交感神経系という2つの分類で説明されていましたが、ポリヴェーガル理論では、交感神経系と、背側迷走神経系と、腹側迷走神経系の3つで自律神経系を説明しています。

 

生物の進化としては、背側迷走神経系、交感神経系、腹側迷走神経系の順番で自律神経系は現れてきていて、腹側迷走神経系は主に哺乳類が持つ神経系です。この腹側迷走神経系を、本の中では「社会交流」という風に読んでいます。背側迷走神経系は、爬虫類や鼠が振る舞う死んだふりのような固まった状態、また、引きこもりのような状態、鬱状態のときに活性化する神経系と言われています。交感神経系は、主に闘争逃走反応といった、戦うか逃げるか、という時に活性化する神経系です。

 

人間らしい生活を送っていく為には、進化的に最も新しい、この腹側迷走神経系がちゃんと機能している事が大事だという事です。腹側迷走神経系がちゃんと活性化していないと、背側迷走神経系が優位になって、鬱状態にずっととどまってしまったり、交感神経系が優位で闘争逃走反応の状態になって、ずっとストレスを感じている状態になってしまったりしてしまいます。

 

これら3つの自律神経系はどれもちゃんと活性化している事が望ましく、特に、腹側迷走神経系がちゃんと活性化している事で、安全性を感じながら社会的に交流していく事が可能になるという事です。腹側迷走神経系が活性化して背側迷走神経系と混合した状態になると、静かに安心してリラックスして人と親密な感じで過ごせたり、腹側迷走神経系が交感神経系と混合した状態になると、安全性の中で、安心してスポーツのように競争を楽しんだりすることができるという事です。

 

このような事が、生物の進化とともに発達してきたという事を考えると、一人一人が身体の状態として、最も新しい自律神経系である腹側迷走神経系をちゃんと活性化させることが人が生きていく上で大事だし、さらには、社会のシステムも、より社会全体として安全性が確保された社会が、人間にとって人間らしく生きていく上で一番いいんだろうというように思います。

 

そんな事を思うわけですが、あらためて、自分自身、自分の身体を大事にしながら身体と対話してやっていきたいと思います。