毎日の習慣や哲学の実践をつづるブログ

毎日の習慣、考えている事、実践について、基本哲学好きとして、とにかく書き続けています。

意味や物語で人は生きられるか。プラグマティズムから考える。

出来ない事ってたくさんありますよね。でも、これまでそんなことやったことないし、自信がなくてできないと思う事ってありませんか。小さなころから自分はできないと自分で信じ込んだか、親に刷り込まれたか、出来ないという根拠も実は大して無いはずなのに、出来ないような気がする。または、出来ないという何らかの根拠があって、だからこれから先もできないと思ってしまう。遠い昔のことなのに。。。

 

世の中には、色んな意味や物語があって、人は意味や物語を生きる生き物です。宗教や神などを創ってきたのも、人に生きる意味を見出して、先の分からない未知の未来に進むためでもありました。それらを根拠にして人は生きてきたのです。しかし、そんな意味や物語が一体どれだけ本当に自分を支える根拠になりうるのでしょうか。

今や現代は、政治の世界での昔のようなイデオロギーを生きた時代ではないし、宗教や神の力もそんなに生きる根拠にはならなくなっています。それでも、意味や物語は自分たち人間の生きる原動力になってきたのです。

 

それでは、現在、世界を動かしている経済の仕組みからプラグマティズムの思想に基づいて、意味や物語について考えてみましょう。

 

現在、世の中を動かしている社会システムは、資本主義経済社会です。資本主義の経済は、シュムペーターの経済発展の理論を参考にすると、企業のイノベーションによると説明されています。イノベーションとは、これまでになかった商品を生み出す新しい創造のことです。資本主義では、資本を元手に新創造するわけですが、一般に資本は借金して借り入れて、イノベーションを起こして新商品を創造して利益を得て、そして、利子分も含めて資本家に返すというサイクルです。このサイクルによって、経済は発展していくわけです。

では、このイノベーションはどうやって起こるのでしょうか。実際、イノベーションが起こるかどうかはやってみないとわかりません。だから、すべてのビジネスが上手くいくとは限らないのです。その未知の商品に対して資本家から資本を借り入れるのです。

 

では、この起こるか起こらないかわからない未知のイノベーションはどうやって起こるのでしょうか。それは、人が起こすのです。この未知のイノベーションを、企業にいる社員が引き受けて労働することによって生み出しているのです。イノベーションとは人間による不確実な挑戦によるものです。これを企業が、「(仮に嘘でも)実現できるんだ」と引き受けて責任を持つことで、「それならば」という事で資本家や投資家がお金を出資するのです。この「引き受けて責任を持つ」という部分が、人の信念に支えられているのです。

 

プラグマティズムの思想は、19世紀の後半にアメリアで生まれたと言われています。プラグマティズムは、過去の歴史から地続きだったもの、現実や事実から、これから先何が起こるか分からない未知のものへの間を、「連続性」によって連結して現実にしていくというような思想です。科学的に根拠があるかないかは重要ではありません。ですが、物事には真理というものがあって、これを追求することで真理に達するものだと考えるのです。この真理に追い求めるにあたって信念がとても重要です。真理への信念を持つことによって現実化していく。そして、真理に到達する。これがプラグマティズムです。仕事やビジネスに当てはめて考えると、人の信念によって結果を出していくという意味になります。

 

20世紀のアメリカは、このプラグマティズムの思想が主流でした。このプラグマティズムの信念の思想によって、行き詰った旧大陸の西洋を乗り越えようとしたのです。実際、この思想は、当時の資本主義経済と相性が良く、ビジネスでは、この人々の信念によってイノベーションを起こす原動力になりえたのです。

 

今につながる資本主義経済の原動力は、企業で働く社員の信念に支えられたイノベーションによると言っても良いのです。ビジネスマインドには、この信念が含まれているはずです。プラグマティズムのマインドを持つことによってビジネスマンは新しいビジネスに挑戦し、イノベーションを起こし、新しい産業や新しい市場を開拓してきたのです。現在の資本主義経済のベースはこれに基づきます。つまり、人の信念は、未知に対して現実化する原動力なのです。

 

話は変わりますが、この仕組みは脳の仕組みと似ています。人間が何かを記憶するとき、学習するとき、繰り返し反復することで脳の神経細胞がその可塑性によって変化し、記憶付されます。野球の素振り1000回とか、習慣化も同じ仕組みです。人はできない事を、繰り返し繰り返し行って習慣にする事によって出来るようになります。人間は習慣を作ることによってできない未知の事を、現実にしていく方法を持っているのです。

 

このような事から、人にとって意味や物語は生きる上で役に立つのかという事ですが、十分役に立つのです。意味や物語とは、人が信念を持つことと似た意味です。むしろ、現代は、この意味や物語、信念に支えられて、ここまで来たのです。人にはドライブする力があります。それが意味や物語です。いかにして、この意味や物語を自分のものにできるか、人生はこの事にかかっています。実社会はそのように創られてきたのですから。根拠は重要ではないのです。現実化する力を支える信念こそ、意味や物語にこそ、人間が生きるために必要なのです。