毎日の習慣や哲学の実践をつづるブログ

毎日の習慣、考えている事、実践について、基本哲学好きとして、とにかく書き続けています。

頭が疲れていて、行動力が上がらない理由。

世の中忙しくて、いつも頭が疲れていて、寝ても寝ても疲れが取れないとか、何かを決めて行動しようとしても、行動力が上がらないとか、そういった事ってあると思います。

少しは頭を休めて、脳を回復させて、しっかり何かについて考えたいのに、むしろいつも考えなくてもいいのに考えすぎていて、思考が回転して止まらず、だから、いつも頭が疲れている。そんな感じでしょうか。

 

最近、内向性やHSP(ハイパー・センシティブ・パーソン)などの話題が流行ってきていますが、それには上の事と関連があって、ちゃんと理由があるのです。

 

まず、根本的な大きな問題として、歴史の流れが関係しています。

人類の歴史は、個人の自由が発展してきた歴史と言えます。国の運営方法が、絶対王政のような君主制から、フランスをはじめとする市民革命によって自由を獲得して、民主制による国民国家になってきた歴史や、ルネサンスによる芸術の発展や啓蒙思想の活動による個人という人間の獲得という歴史、日本の憲法基本的人権も尊重を重んじるなど、個人の自由が拡大してきているのです。自然と人間の歴史という観点から言えば、人間はそもそも、自然から自由を獲得してきたと言えます。昔は、自然は厳しく、今と比べれば生き延びることもままならないほど大変な時代がありました。テクノロジーの発展によって、徐々に自然に対して生きるすべを身につけて、自然の不自由から自由を獲得してきました。

 

そして、テクノロジーの発展も重要な意味があります。特にメディアの発達です。月並みなよくある説明では、メディアの発達は活版印刷からはじまるわけですが、今ではインターネットができていわゆる情報化社会になったわけです。

 

そのような時代を経て、人間の性質について立ち戻って考えてみますと、人間は幻想の世界を生きています。ちょっとわかりにくいですが、例えば、ユクスキュルの環世界の話があります。虫である蚤は匂いという感覚しか持たず、近くを歩いてくる犬のような動物のにおいに反応して、草から犬に向かってダイブする事で犬の毛の中で生活するわけですが、これが蚤の一生です。そして、この嗅覚の感覚しかない世界が、蚤の生きている世界です。これと同じように、人間にも人間特有の、他の生き物にはない感覚世界を持っています。そのような世界観を、環世界と呼ぶわけです。人間は、目の前に広がっている世界を完全に自分の世界としてとらえているわけではないのです。自分の感覚器官を通して、間接的に、世界を見ている、言い方を変えると、世界を想像しているわけです。そのような意味で、人は幻想の世界を生きているわけです。この幻想の世界は、各人で違っていて、それは各人毎の内的な世界です。

 

そのような意味で、個人の時代に入っている今、各個人の自由な内的世界は拡大してきているわけです。それが21世紀を生きる私たちの個人の自由の世界です。仮想現実とか現実拡張が流行っているのは、このような各個人の幻想の世界の拡張と関係しているのです。

 

また、先ほど述べたインターネットによるメディアの肥大化が、個人の幻想の世界と関連しています。スマホを通じて膨大な情報が個人の内的世界に入ってくるのです。そして、肥大化した個人の内的世界の中では、脳は情報に振り回されて目まぐるしく脳内の神経細胞は過剰に活動しています。これが頭が常に疲れている理由です。

メディアの発達による情報化社会の肥大化が、内的世界を作っている脳の機能を超え始めているのです。だから、最近よく、"情報断ち"という事が聞かれるのです。HSPの人にとっては、過剰な脳の活動はとてもつらいはずです。内的な世界を穏やかにしたいわけですから、外から入ってくる情報は遮断しないわけにはいかないのです。

 

みなさんきっと、いつも考えすぎて頭が疲れていて、行動力が鈍っていると思います。それは当たり前なのです。そのような時代に入っているのです。内向的な人たちが注目を集めているのも、多くの人は内的な世界を実感していて、情報化社会でますます内的世界に余裕がなくなっていることに関係しているのです。一方で内向的な人たちが良い意味で注目されているのは、この内的な世界の中で、過剰な情報を上手に手なずけているというのもあります。

ですから、そのような現状を意識して、脳の神経細胞たちが快適に活動できるように、情報に対する接し方をコントロールして、自分たち人間は自然から生まれた生物なんだという事を忘れないようにしましょう。上手く内的世界の中で情報をコントロールする方法を身につければ、頭に余裕が出てきて、行動力が上がってくるはずです。