喫茶店というものは、それ自体で意味を為していると考えられます。
喫茶店とは、コーヒーやお茶を飲む事ができる場所であり、基本的には、そのような形態のサービスを受けられるところが喫茶店と言えるわけです。
ですが、コーヒーやお茶を飲むだけであれば、自宅でも自分で飲む事は出来るわけです。そのように考えると、きっと喫茶店は、それだけではない機能があると考えられるわけです。
そうでなければ、わざわざ自宅から足を伸ばして喫茶店まで行かないし、その上、お金まで払わないわけです。
どう考えても、それ以上の何かが、喫茶店にはあるわけです。
人は自宅にじっとしていると、ダラダラと過ごしがちです。何もしないどころか、何もしない事によって体調を崩したりもします。
そんな時、自宅からちょっと出かけて喫茶店に行きたいわけです。自宅とは違って、店員の目、他のお客さんの目がありますから、直接知らない人達だとしても人は人なので、程よく緊張するわけです。
人間、ちょっとは緊張をして、交感神経を活発にする必要があるんです。
一方で、人は仕事で会社などに行きますが、コーヒーやお茶を飲みたいんだったら、別に会社で飲めばいいんです。他の社員も会社でコーヒーやお茶を飲んでいます。
ですが、喫茶店で過ごすのは、会社で過ごすのとは違うわけです。会社で過ごしても真にリラックスできませんが、喫茶店では真にリラックスできるんです。
その意味で、同じ人が居る所だとしても、会社の職場と喫茶店ではまるで違うわけです。
スターバックスは、その事をサードプレイスと呼んでいますが、確かに、そのような機能があるわけです。
とすると、働いていない人は喫茶店に行かないというと、決してそんな事はないんです。
仕事に関係なく、やっぱり人は喫茶店に行きたいんです。自宅で勉強もできなくて、本も読めない人が、何故か喫茶店でそれらをやるんです。
他人という環境が、自分に適度の節度を与えてくれて、集中力を与えてくれるんです。そんな機能も、喫茶店にはあるんです。
そして、付け加えると、人は店員さんからのサービスを求めているんです。人からサービスは本当に贅沢であり、喫茶店はそれを提供してくれるんです。格別なサービスです。
同時に、自分で自宅に作り出せない快適な空間を提供してくれます。これも、この上ない喜びであり、喫茶店としての重要な機能です。
このようにして、喫茶店というのは、ひとつの機能では説明できない多様な機能を併せ持っているんです。
この現象を、創発性で説明する事が出来ます。つまり、複数の独立した機能を構成要素として、ひとつの機能が創発的に生成しているんです。
幾つもの喫茶店の機能が組み合わさった事で、上位の階層の概念を生み出しているんです。その上位の概念が喫茶店なんです。
ですから、喫茶店というものが、もはや私たち人間にとって、ひとつの概念なんです。
人間にはゲシュタルトという性質がありますが、そのようにして、別々の喫茶店の機能が集まって、ひとつの喫茶店という輪郭を見出すんです。