人間の脳には未来も過去もなく、ただ今があるだけなんです。主観的には今しかなく、予測する未来や記憶している過去は確かに存在するものの、それらも結局は今にあるだけなんです。
脳は自動で予測しますから、それは今までの記憶や経験に基づいて予測するわけで、その予測に従って未来を描いています。ですが、その未来が実現するかどうかは分かりませんし、今の時点では絶対に確かではありません。
だから、例えば、未来をイメージした時、その未来から今を逆算すると、今からその未来までをたどれば未来にたどり着くような気がします。しかし、たいていその通りにたどっていくことはなく、そのようにして描いた未来は、ほぼ実現しないんです。
未来のイメージとして役に立つのは、今の時点から描いた未来に向かっていきたい時に、その方向に向かって生きていくモチベーションになることです。思い描く未来は、今をドリブンさせるモチベーションのためにあるんです。
その意味で、夢も未来のイメージとして思い描くポジティブなものですが、まさに夢に向かって今をドリブンさせる、今のためのモチベーションとして意味があります。
人間の認知は主観的でしかないわけですから、その意味で今しかありません。今をどのように生きるか、どのようにモチベートし、ドリブンさせるか。主観的な人間にとって、今が重要なのです。
嫌な未来、実現してほしくない未来は、今の自分にとって問題であり弊害となるのであって、実際に実現するかどうかという意味で問題なのではありません。
かなりの確率で、今抱いたネガティブな未来は実現しません。主観的な人間にとっての未来は、あくまで今自動予測されるネガティブな予測に基づく未来であり、問題なのは、ネガティブな未来が現実のものとなるということではなく、ただ今ネガティブな感情を感じるということに尽きるわけです。
逆に、自動予測されたネガティブな未来は、今の時点では、実現するかもしれない未来の一つにすぎません。それをただ回避すれば良いだけで、さらに言えば、それを回避するために、未来として今自動予測をしているわけです。
脳は、それを回避するために自動予測しているのであって、それが脳の機能として正しいわけです。
ですから、未来はあくまで今思い描かれた未来であり、まさに今のものであるわけです。そして、未来は、今をドリブンし、今をモチベートするための「今」にとっての未来であり、また、回避するために自動予測された、「今」にとっての実現しないかもしれない未来である、ということです。