人間、今をどう生きるか。未来に向かいつつも、今をどう生きるか、それが大事です。
未来は、あくまで、目指す方向であって、未来に到達するものではないわけです。未来は、決して訪れません。ロケットで月に行ける時代が来るとか、そういうのはいったん脇に置いておくと、未来は月に行くようなもので、あくまで、月は眺めるのであり、月に到達する事はありません。
だから、今の時点から見通しの立たない事は今の自分には役に立たないわけです。見通しが立つと、人はそれに向かって進んでいきやすいのであって、でも、だからと言って、実際に、見通しの先にある未来に到達する事が重要というわけではないんです。
あくまで、今の時点から見通しが立つ、という事が重要であり、それは未来に実現するからではなく、未来に向かって今を生きる事が出来るから重要であるという事です。
その意味で、人は今をどう生きるか。そういう事が重要だという事です。
それは、この先どうなるか、分からないからです。未来はどうなるか分からない、それが未来であり、未来がいかに想像でき、それが実現可能性が高いからと言っても、それが本当に実現するかは、その時になってみないと分からないわけです。
それこそが、未来というものです。未来は分からないんです。そして、未来は、分からなくていいんです。
あくまで、今を生きる為、今を力強く生きる為、そういう事です。
未来がどうなるか分からなくても、想像する未来が良い感じだったら、それは描いている未来として、とても良いわけです。そして、そのような未来は、今を生きやすくします。
未来に向かって、生きようと思うし、自分の中で内的な動機を持って生きる事が出来るわけです。
それでも、予想した、あるいは、想像した未来は、あくまで未来であり、今の事ではなく、確実に実現するものではないんです。そして、実現しなくていいんです。
未来に実現する事が決まってしまったら、とたんに、今を生きられなくなります。
今を生きる要素として、未来は確定していない事もポイントです。未来が確定してしまうと、未来に向かって生きる努力や工夫も必要なくなります。
どうなるか分からない、そんな未来に対する楽しみも何もありません。決まっていますから、ただそれに向かって生きるだけです。それは、張りの無い世界であり、生き甲斐の無い世界であり、退屈な世界であるわけです。
未来は確定しないからこそ未来なんです。そんな未来があってはじめて、人は未来に向かって、今を生きるんです。