集中するというのは、集中する対象に過剰に意識を向けるという事ではありません。ただ、集中するという事です。
目の前にある対象に、何か過剰に力を注ぐ、エネルギーを注ぐ、といった事ではないという事です。
呼吸に集中するという場合、吸ったり吐いたりする事に、ただ意識を向けて、その呼吸に集中するという事です。必要以上に空気を吸い込もうとしたり吐き切ろうとしたりするという事ではありません。
何かに耳を傾ける時、その事に集中して聴くという事です。過剰に、無理して聴こうとする必要は無いわけです。
何か文章を読んで、文字を見る時も、そこに過剰な力みは必要なく、ただ見る事に集中するという事です。
ただ集中するという事が出来たなら、きっと心はそこに注がれて、落ち着いた状態になっていると思います。その落ち着いた状態になって、静かに時が流れる感じになるはずです。そのように感じられる時間を体験する事が重要です。
集中するというのは、注意を向けるという事にも似ています。
人間の注意力にはキャパシティがありますから、多くの事に同時に注意を向ける事は出来ません。
仮に注意を多くの事に同時に向けたとしたら、その状態はきっと散漫な状態のはずです。
だから、注意を向けているときは、1つの事に注意を向けているという事です。
集中する対象というのは、ひとつで良いわけです。むしろ、ひとつだという事です。自分と対象の間を、集中という一本の線でつなぐという事です。
集中は、繰り返しですが、何か力を過剰に込めたりするものではありません。ただ、意識をその一点に注ぐという事です。
そこには、きっと丁寧さがあって、繊細さがあって、静かさがあります。
集中するとき、息を止める必要はありません。気が付いたら息が止まりそうですが、それでは集中が過剰になったり不足になったりします。リラックスしている事は重要ですから、適度に集中するわけです。その時、呼吸は心地良く穏やかに行われているはずです。
集中する事と、心の落ち着き、心の静かさは関係あります。心がざわざわして落ち着いていない時は、集中できていない時です。逆に、心が落ち着いていない時は、集中する事で、心の落ち着きを取り戻せます。
心の静かさは、自分に何でも与えてくれます。全てを自由にしてくれます。自由に考え、自由に感じる事ができます。そして、その状態から何でも始められます。何ものにも囚われずに、自由に始める事が出来ます。