人間は、色んなものと関係性を作って生きる生き物と言えます。
人間は、赤ん坊として産まれると、基本的には親に関係性を作ってもらう事で生きる事が可能になるわけですが、それは自分自身によって関係性を作っていく力がまだ育っていないわけで、むしろ、例えば、親や周りの大人によって自分自身と関係性を作ってもらうわけです。
言い換えると、人間は、最初に自分自身と関係する事を始めるわけですが、自分で自分と関係性を作るはずの自分がまだ十分形成されていないから、代理的に、他の人に自分自身と関係してもらっているわけです。
そのようにして、自分自身と関係する事から、実際には関係してもらう事から関係性を始めるわけですが、徐々に自分自身が形成され、それとともに、自分で自分と関係性を作るようになっていきます。
そして、自分自身と関係性を作るとともに、周りの他人とも関係性を作る事が可能になっていきます。
ですが、人と関わっているからといって、ちゃんと自ら他人と関係性を作れているかというと案外そうではなく、自分自身を保つために他人を巻き込んでいるだけという場合もあります。
これもまだ、自分自身が他人と関係性を十分作っているとは言えないわけで、それは、まだ、自分と他者の区別がついていない段階と言い換える事が出来ます。
そのうち、人は自分と他者の違いがある事が分かってきて、そこではじめて、人は能動的に人と関係する事ができるようになります。
人間にとって、人間は最も刺激的で、最も反応性が高いですから、言い方を変えると、関わる分だけそのフィードバックが大きいですから、その意味で、人は人と関係性を容易に作るわけです。
その結果、人間は関係性を通して、人間同士でネットワークを形成します。
ですが、このような人間のネットワークとは別に、もしくは、人間のネットワークから逃れて、人間とは異なるものと関係性を作るようになります。
それが、モノであって、人間以外の対象です。人間以外のモノと関係性を作っていく事で、人間のネットワークの輪とは別の関係性を作っていくわけです。
人間以外のあらゆる対象としてのモノは、人間よりフィードバックが小さいですから、関係する事が容易ではありません。そのため、能動的に関係する力が必要となります。
ですが、能動性を発揮して、新たなモノとの関係性を作っていく事によって、人間だけのネットワークではない、より複雑な、そして、より高次なネットワークを形成するようになります。
それが、文明を発展させたと言えるし、文化の発展につながったと言えます。
そのようにして、人間は、自分自身から他人へ、そして、モノへと関係性を広げながらより発展してきたと言えます。