人の中には、恐れが根源にあります。そして、不安も根源にあります。恐れや不安は嫌ですから、すぐにでも回避したいと感じます。それがどうしても人の行動基準になってしまいます。思考の基準にももちろんなります。これはどうにも人間である以上仕方のない事です。人類はそのようにして生き残ってきました。
仏教でも、人間にとっての大きな問題は苦しみと言っていますし、恐れや不安の苦しみは避けられません。
だから、恐れや不安を中心とする生き方は人間としては普通なわけです。恐れや不安が嫌で、それをいかに回避して生き延びるか、それが普通の生存戦略になってしまいます。
ですが、この生き方は普通であるとともに、やはり苦しい生き方と言えます。
ただ、恐れや不安が人間にとって根源である事を知っている事は、知らずに生きているよりはずいぶん楽な生き方が出来るかもしれません。
それは何故かと言うと、恐れや不安は、人にとって根源にあるものであり、その事が重大な問題である事をちゃんと知っておくと、何か恐れや不安があった時、それを無視せず、大事に取り扱う事が出来るからです。自分の中の恐れや不安を無視して、何も対処しないまま生きていると、ずっとその問題が大きな問題のまま自分の中にあり続けて、ずっと苦しいままになってしまいます。
恐れや不安を感じているという事を自分自身で気付いていると、それを軽減させようとする事が出来るかもしれません。そして、実際にそれらを軽減出来たら、凄く生きやすくなります。生きた心地がしてきます。安心感が得られます。
安心感は、恐れや不安を回避してでも求めているものであり、それを感じられると人間というのは凄く心地よく、生きやすくなります。恐れや不安を重要視しないままでいると、ずっと苦しいままで、安心感を得られずに生きていく事になります。
そして、安心感を知る事によって、喜びを感じる事が出来ます。恐れや不安の中では、喜びはなかなか感じられません。そんな余裕はありません。
また、幸せも同じ事です。恐れや不安が自分の中にある事を知って、それらにちゃんと対処する事で安心感を得られれば、幸せを感じる事が出来ます。
そのようにして、喜びや幸せを知り、感じる事が出来れば、自分の中に恐れや不安が根源的にあったとしても、それらを上手く対処して、より良く生きていけるようになります。それが、ウェルビーイングな生き方と言えるように思います。