毎日の習慣や哲学の実践をつづるブログ

毎日の習慣、考えている事、実践について、基本哲学好きとして、とにかく書き続けています。

生物・人間・脳に基づく進化論的な習慣作り

生物や人類の歴史を見ていると、進化論とはあらゆる生命の営みについて、本当に上手く説明できる考え方だなとよく思います。進化論は科学か、という点についても、大部分は科学的でありながらも、上手く科学的でない点を包含していて、科学的な範疇に収まりたがらない人間の営みさえも上手く説明しています。もちろん人間だけではなく、地球上のありとあらゆる生命の営みも進化論で説明できます。人間が生命の1つの種であることを踏まえると、あらゆる他の生命の営みや原理は、きっと人間にも適用できるだろうとも思います。

 

私は、人の習慣は、進化論に基づいて形作られていくだろうと思っています。あらゆる生命の営みは、人間にとっても参考になるし、そして、自分自身もより進化できるように習慣作りをしていきたいと思っています。

 

私は、”進化論的な習慣作り”を意識して、今年も、習慣を見直したり、さらに新しい事にも取り組んだりしていきたいと思っています。そこで、生物や人間、脳に関する進化論的な事についてお話ししたいと思います。

 

地球上のあらゆる生物は、植物から動物に至るまで、進化論的な振る舞いで活動しています。生物の進化は、一般に、同種の集団の中に個体差が生まれて、その中のある個体が、環境に対して適応できればその個体の種は保存され受け継がれ、適応できなければ保存されない、そのようなものだといわれていると思います。DNAの遺伝の仕組みは、進化論の概念の範疇で説明しうるもので、塩基配列の情報を持つDNAの情報は基本的に複製されて保存されていきます。そして、環境の中でその生物が複製する過程でたまに突然変異が生じますが、これが”適応的”であれば受け継がれます。このDNAの持つ進化の仕組みは地球上のあらゆる生物が持っています。

 

もちろんこれは、花や昆虫、魚、鼠、猫や人間などだけでなく、細胞レベルのものから、同じ仕組みを持っています。最近注目されている新型コロナをはじめとするウィルスなどは、遺伝情報を持つ最小レベルの進化の仕組みを持つ生物で、人間とも共通の仕組みを持っています。その意味で、地球上のあらゆる生命は、特に遺伝情報を持つ、という点を含めても、様々な点で共通性があり、人間にとっても参考になるわけです。

 

人間は、私たち自身であることから、私たちにとって最も関心のある生物ともいえると思いますが、進化論的な生き物である人間の社会の営みもすべて、進化論的です。日本の歴史を振り返っても、どの時代のどの社会も、進化論的に振る舞っています。例えば、室町時代後半16世紀の戦国時代では、多くの大名が争って、最終的に徳川家が上手く適応して生き残って江戸時代を開いたわけですが、この流れも進化論的です。室町時代の中で繰り返されてきた多くの営みは、室町時代末期の混乱期を経て、一部失われて、新しいものに置き換わっていったと思います。それは、江戸末期から明治も同じです。もちろん変革期は、劇的な変化が起きていますが、200年以上続いた江戸時代の真っ只中でも、その生活の慣習や文化は進化論的に変化してきたと思います。また、グローバルに見れば、国も同じように進化論的な栄枯盛衰があるし、さらに言えば、企業体も同じような営みがあります。人間がする営みはどんな社会であれ、時間軸を伴って進化論的な仕組みを内在しています。

 

そして、人間の持つ仕組みにも、進化論的な仕組みを持っています。人間の営みを最も司っている脳は、近年ずっと注目されていますが、これも進化論的な振る舞いを持っています。脳内の神経ネットワークは、人間の営みを作る中枢と考えられますが、そのネットワークのどのようなパターンや仕組みが人間の行動や営みを決定しているかは、まさに現代の研究の対象です。海馬や偏桃体、前頭前野や言語野や視覚野、あらゆる神経系、また、ドーパミンセロトニンなどのあらゆる神経伝達物質やホルモン、これらだけではないでしょうが、主にこれらによる営みが脳の活動を決定しています。

 

神経のネットワーク構造がどのように形成されているのかについて、東京大学の高橋宏和先生が説明している「神経ダーウィニズム」という面白い考え方があります。脳の神経細胞のネットワークは、無数の神経細胞がランダムにネットワークを形成するように空間に置かれた状態で、外部からのインプットに対して”適応的に”ネットワークを形成してアウトプットしてネットワーク構造を形成したものであり、その空間的な神経ネットワークのパターンが混沌とした状態から秩序だったものへ作り出されたものであるというものです。この神経回路は人によって多様であり、繰り返されるインプットとアウトプットにより形成される神経ネットワークは、人の作る道路網や都市のようなもので、頻繁に使われる道は太くなり、使われない道は道でなくなる、ただそれだけだという事です。自律的な神経細胞のランダムな集団による、適応的な振る舞いだというわけです。きわめて進化論的です。この学説は、様々な神経ネットワークを説明する一つの考え方のようですが、非常に興味深いです。

 

人間の習慣とは、人間の営みを形作るものです。その仕組みは進化論的な観点から、地球上のあらゆる生物の持つ仕組みと同様なものです。そして、その進化論的な仕組みによって、人間の社会や営まれているし、人間自身の営みもそうです。そして、脳の仕組みも神経細胞のレベルから進化論的です。進化論的な仕組みは、人間の習慣の営みの仕組みになっているのは当然のことのように思います。

 

今年も引き続き、この進化論的な習慣作りを意識して、自分の生活を形作っていきたいと思っています。