毎日の習慣や哲学の実践をつづるブログ

毎日の習慣、考えている事、実践について、基本哲学好きとして、とにかく書き続けています。

大きな会社ほど「好き」を仕事にするのは難しい。主体性が「好きを仕事にする」を可能にする。

世間ではよく、「好き」を仕事にする方が良い、と言われます。でも、実際会社員をやっていて、「好き」を仕事になんてできない、と思うことがよくあります。スタートアップして間もない若く新しい会社とか、少人数から成る会社とかならまだしも、会社が大きくなればなるほど、「好き」を仕事にするのは難しいと思います。それは何故なんでしょうか。

 

まず、会社が大きすぎると、人が多すぎて、組織が複雑になり過ぎるからです。そして、大きい会社はたいてい会社ができてかなり年月が経っていますから、幅広い世代がいて、すでに退職したような上の世代からの昔の企業文化を引きずりながら経営してきているので、経営トップが企業理念やメッセージを示しても、いたるところに分からない企業の価値観の組織やルールがあって、メッセージは浸透するどころか、もはやどうなっているか分かりません。会社が大きいと、社内には知らない人が大勢になります。

だから、経営トップは単純明快な、共有しやすいメッセージを社員に伝えないといけません。ですが、これが部署や組織ごとで解釈が違っていたり、トップの意向に反した動きをする部署や社員がいたりします。だから、会社で起こっている事、会社にとって正しい事が、非常に分かりにくくなっています。ある部署ではある方向に向かっていて、それが正しいとなっている仕事の価値観が、また別のある部署では別の方向に向かっていて、違う価値観で働いていたりします。ちょっとした社内政治めいたこともありますから、ますますどの方向を向いて働いていくのが正解か分かりません。

たいていの大きな企業は、今の時代そういう状況になっていますから、会社として、経営トップとして、社員一人一人をどう評価していいか難しくなります。その場合、だいたい成果主義が導入されます。成果をデータで見れば、その社員が分かるというわけです。どの社員が会社に貢献していて、どの社員が会社に貢献していないかが、アウトプットの数字を見れば明らかとなります。

このように成果主義が強まると、好きな仕事を仕事にするにはどうしたらよいかというより、成果が出るにはどう働いたらよいかという事を考えないといけなくなります。そうやって、「好き」を仕事にするという事は困難になります。

 

そして、成果主義が強まると、評価が気になります。評価をするのは上司ですから、どうしたって上司が仕事をどう考えているかが気になります。評価に影響するからです。成果主義では、仕事は基本的に個人の成果が評価ですから、横の関係は構築しづらくなります。横の関係は、会社勤めを快適に続けていく極めて重要なファクターですから、この横の関係が失われるという事は、会社としては本当に働きづらく、居心地が悪く、パフォーマンスは下がる一方ですが。そんな事とは関係なく、ますます、評価や成果ばかりを気にしないといけなくなります。「好き」を仕事をするにはどうすればいいかを考えるよりも、評価や成果が上がるにはどうすればいいかを考える事がほとんどになります。

そういうわけで、会社が大きくなればなるほど、好きを仕事にするのは難しくなります。

 

それでも、社内を見渡すと、好きを仕事にしていそうな人がいたりします。私も、以前は成果を気にして仕事に集中できませんでしたが、時間をかけて、「好き」を仕事にするように努めてきました。そこで、好きを仕事にする方法についてお話ししたいと思います。

 

大きな企業になりますと、本当に、みんな色んな方向を向いて働いています。経営トップのメッセージも人によって解釈が違いますから、自分が他人の採用している価値観を採用できるとは限りません。そして、多くの人は、経営トップの意向など気にしていません。ですから、経営トップの意向が正しかろうが正しくなかろうが、自分で主体性を持って、責任をもって、解釈することです。主体性が重要です。

そして、自分なりに、会社にとっての本当の価値は何なのか、自分で学んで考えて判断することです。これは入社間もないときはすぐにはできないかと思います。周りにいる社員たちがあてになるかどうかもわかりませんから、どうしたって、会社について知るのに時間がかかります。でも、時間をかけて自分なりに会社を理解するのです。そうやって、会社での仕事や働き方を、主体性を持って考えていく事が大切です。

 

このようにして、主体的になるとともに、自分が本当にしたいことは何なのか、好きな事は何なのか、という事について考えてください。「好き」を仕事にするという事は大きい会社では困難ではありますが、不可能ではありません。そして、やはり、「好き」を仕事にする事は働く上でとても大事な事です。だから、諦めず自分にとって好きな仕事とは何かを考え続けるようにしましょう。この時大事なのは、会社にとって本当に価値ある仕事とは何か、という事について考えている事です。この事が自分なりに理解できていると、会社の価値と、「好き」を仕事にする事が合わさってきます。そうなってくると、「好き」を仕事にする事が会社内で実行可能な仕事になってきます。実行可能性は重要です。実行不可能な、とんちんかんな事を好きな事として仕事に反映していくのは非常に難しいです。好きを仕事にできません。ですから、会社にとっての本当に価値、本当の貢献は何か、そして、自分が好きな事を仕事にするにはどうすればいいのか、これをセットにして、自分で主体的に責任を持って考えていく事です。

 

そして、もうひとつ、これはやっかいなのですが、ある程度社内の評価を勝ち得ないといけないという事です。こればかりはどうしてもクリアしなければなりません。ある程度の評価を勝ち得ないと、社内での裁量権を得づらいからです。ただし、大きい会社ほど、ある程度きちんと働いていればそれなりの評価は得られます。何も、飛びぬけた評価を得ないといけないというわけではないのです。自分の自尊心を損なわない程度です。自尊心の問題は、とはいっても大きい問題で、いつも自分は働き方が間違っているのではないか、と思っていたら、好きな事をやるために必要な裁量権が得られません。その意味で、自分はこの働き方でいいかな、と思える程度にまで、社内評価の問題をクリアすることが大事です。裁量権を得るとは、この場合は特に、会社上の裁量権といううよりは、好きなような働く事を支える自己肯定感のようなものでしょうか。周りからどう思われようと、自分はこんな感じで働く、という自由さを獲得できれば、裁量権を多様なものです。

ここまでくれば、おそらく、「好き」を仕事にする事を、実行に移せます。好きを仕事にするとは、周りから何と言われようと自分はこの仕事をしたいからやる、という事です。このとき、必要なのが主体性や責任です。自分はこの仕事をするんだという責任です。もしかしたら、その「好き」な仕事は、会社では評価されないかもしれません。でも、自分の「好き」な仕事は、絶対会社に貢献するんだという信念が必要になります。だからこそ、主体性や自分が引き受けるという責任が必要なのです。逆に言えば、主体的に企業にとって価値や企業への貢献について考えて決めて、誰が何と言おうと、この「好き」な仕事は会社の貢献につながるんだと信じていれば、怖いものなしです。大きい会社ほど、価値観はあいまいです。社内的な正解はあてにならない分、自分の決めた正解は、かなり正解に近いです。

 

大きい会社ほど好きを仕事にすることは難しいです。それは確かです。でも、大きな会社ほど、主体性は大切です。自分の価値や仕事を自分で決めていく。そうやって主体的に働いていけば、きっと好きを仕事にできるはずです。